第7章 虎穴のワルツ編
曲調が変わった。
ホール全体の空気も一気に変わった。
「耳をふさいでおいた方がいいですよ」
そういえば、ギルベルトさんとフランシスさんに、親分が酔っ払いじゃないこと言うの、すっかり忘れてた。
ローデさんに言われて「あっ」と思ってとりあえず耳をふさぐ。すぐ隣を歩いていたギルベルトさんも釣られて耳をふさぐ。
フランシスさんは少し先を歩いて曲に聞き入っている。
まずい。
親分みたいになってしまう!と走り出そうとした私の腕をローデさんが掴んだ。その勢いでローデさんの胸に頭をぶつける。
そのとき、また曲調が変わった。
はっきりとは聞こえないけれど、演奏者の動きが変わり、見ているだけでも明らかに変わったことがわかった。
「んん?
んんん?」
前を歩くフランシスさんの動きがぎこちなくなってきた。
フランシスさん自身も不思議そうに首をかしげている。
「どうしたフランシス、お前なんかおかしいぞ?」
ギルベルトさんが笑いながら問いかける。
「あ~…うん。なんかね…」
フランシスさんが妙なステップを踏み出した。
「体が踊りだしちゃうのさ☆」
きめっきめの表情でこちらを向き、なぞの踊りを始めた。
ギルベルトさんが爆笑している。
「お前wwwまじめにやれよwwラスボス目の前だぞw」
笑い転げているギルベルトさんを横目に、ローデさんと私は「やっちまった」という顔で目を合わせる。
踊る阿呆と見る阿呆、二人を置いて、私とローデさんはステージへ急いだ。
あとがき
雲行きが怪しくなってきました…
恋愛要素が入れられない…