第7章 虎穴のワルツ編
どうやら倉庫か何かの部屋らしく、石像やら花瓶やら木箱に無造作に詰め込まれたものがたくさん置いてある。
私たちはその陰に隠れた。
指示するローデさんに無言で従っていたが、私は想いっ切って尋ねてみようとすると、
「ち、ちがいますから!別に迷ったとかそういうんじゃありません!
黙って隠れていなさい!このお馬鹿さんが!」
予感的中。
部屋を間違えたようだ。
うん、仕方ないよ。だってローデさんだもの。
特に突っ込みは入れず(いや、そういう気も起きない)、私は小さくなって座った。
「…こんなことに巻き込んでしまって…申し訳ありません。
あなたには…これ以上ご迷惑をかけられません、ね」
そう言ってローデさんは静かに立ち上がった。
「…迷惑なんて。
何をするつもりですか?」
「私も剣のたしなみはあります。
少しくらいなら、時間稼ぎはできると思います。その隙に…」
「何を言ってるんですか、お断りします!
私こそ日のもとの国の剣士ですよ、私にお任せください!」
け、剣なんてできないけど、できないけれど。
こんな無理してるローデさん見るよりマシだよ!
「私にやらせてください。私も…男ですから。日のもとの剣士なら、分かるでしょう?
自分のまいた種は、自分で刈り取らなくては」
そう言って、ローデさんはバイオリンをレイピアに持ち替えた。