第7章 虎穴のワルツ編
魔物召喚の不協和音が廊下いっぱいに響き渡り、背後にはアントーニョさんの足音が聞こえる。
心なしかローデさんの手の力が強くなった気がする。
とにかく前へ、前へ。
一本道から入り組んだ廊下に入り込んだが、彼は迷うことなく走り抜ける。
…あれ。でもそういやローデさんって…
方 向 音 痴
じゃなかったかな…。
思い出して、私はものすごく不安になってきた。
だからって今は言えないし。
そんなことを悶々と考えていると、木でできたドアの前に辿り着いた。
ローデさんは無言でそのドアを開けると、音を立てないように静かにドアを閉めた。