第7章 虎穴のワルツ編
…と、言う訳で。
先発組といたしまして、私、親分、ローデさんの三人が地下室に向かうことになりました。
怖がり二人組は置いて。
戦う意志のないものは、置いて行くのです!とか意気込んで置いてきちゃった私。
「菊って、マジでサムライだったんや!!」
そう言って親分が尊敬のまなざしで見てくれていた。
はい、ただこれが欲しかっただけなんです。バカな私をお許しください神様、幽霊様!
「武芸についてを言われますと、私はお二方にはだいぶ敵いませんが…戦意の鼓舞は得意です!」
自信満々に言ったローデさんは懐からバイオリンを出して「がんばります!」と意気込んでいる。
突っ込むところ!!!!??
こうして、戦士、侍、音楽家、三人のパーティーが地下室へと侵入。
地下室は、他の部屋とはまったくの別空間で、真っ暗でほこり臭くてクモの巣も張っている。
「はは、さすがの親分もちょっと気が滅入って来たわぁ」
数百段は続くであろう石の階段を前にして、親分はてへ、と笑って言った。
私はあなたの数倍滅入っております。
「では、さっそく私の出番ですね」
そう言って、いつのまに着替えたのか凛々しいスーツ姿のローデリヒさんが先頭に立った。
松明の薄暗い灯りの中で、優雅にほほ笑むローデさんに私たちは思わず息を呑んだ。
そして、勇ましい曲を演奏し始めた。
「…なんや、むっちゃかっこええやん。ローデの兄ちゃん」
地下の階段の前で、私たちは武器を構えたまま、しばしローデさんの優雅な演奏に聴き惚れているのであった。
鼓舞の使いどころ、ありましたね!