第7章 虎穴のワルツ編
「何があるんかいなー何があるんかいな!」
親分は酒が入ってハイテンションで斧を振り回している。
「…ローデさん。あれ、いいんですか?」
数メートル後ろを私たちはおそるおそる歩く。
「よくありませんよ、まったく。さるお方の誕生日に贈るはずの大切なワインだったのに…」
大切そうに数ミリ残っているワインの瓶を握って、ぷりぷり怒っているローデさん。
いやいやそうじゃなくて、現在進行形でいろいろ大切そうなもの壊しているけれど。
ちどり足の親分を遠巻きに見ていたら、少し様子がおかしいことに気がついた。
先ほどまで、陽気な歌を口ずさんでいた親分だったが、だんだんとおかしなメロディーを口ずさみ始めたのだ。
ローデさんもそれに気付き始めて、口数が減って来た。