第7章 虎穴のワルツ編
「ただの楽譜ならかまわないんですよ。だいたいは暗記しているので…
あの楽譜はちょっとイワクつきでして…」
そう話すローデさんの前で、燭台のろうそくの火が一度大きくうねった。
その様子に、一同は息を飲んで静まり返る。
「『虎穴のワルツ』と言われる呪いの曲なんです。
…全部演奏すると、魔物を召喚すると言われています」
「…あー…そ・そういうのは、アレだな。アルフレッドとか、アーサーの専門」
ギルベルトさんが乾いた笑い声でそう言った。
誰かアイツら呼んで来い、と言うと、ローデリヒさんは首を横に振って「他言無用です」と言った。
「…実はですね、犯人なんですが、屋敷から出た形跡がないんですよ」
その衝撃の言葉に、一同言葉を失う。
「やばいやん…」
親分が放心状態の中、ポツリとつぶやいた。