第7章 虎穴のワルツ編
外から見た限り、電気もついていないようだ。
事件があったあとだから、もしかしたらほかの場所に避難しているのかもしれない。・・・むしろそうだろう。
ここに至って思いつき、私は大きく息を吐いた。
「…ここから帰るの…怖いなぁ…」
もしかしたら強盗団がすぐ近くにいるかもしれない。
私は恐ろしくなって、玄関の端のほうで丸くなっていた。
ああ、明日がくれば…明日になればきっと…
そんなことを考えていた時、携帯に着信が入った。
「あ、もしもし!!ギルベルトさん!?」
「うおおおびっくりした。出るなよお前、せっかくワン切りにしようと思ってたのに」
そう言ってギルベルトさんはケセセと笑った。
「ギルベルトさん、今どこにいるんですか?」
「あ?家だけど」
…家?ルートさんと一緒に住んでいるわけじゃないのかしら。
「あの、私今ローデリヒさんの家にいるんです」
「は?なんで坊ちゃんちにいるんだ?」
「あ、あの、強盗が入ったとかって聞いたので、心配で…」
「そんな事件あったの?」「初めて聞いたわぁ」
受話器越しにそんな声が聞こえた。
どうやらギルベルトさん以外にも誰かがいるようだ。