第6章 長期滞在になってまいりました。
イヴァンさん来来
最近変わったことがある。
うちにイヴァンさんがよく来るようになったのだ。
来てほしいルートさんを差し置いて、暇さえあれば顔を出す。
いや、私はイヴァンさん結構好きだからいいんだけど、本田さんはあまり好きじゃないようだし。…というか、みんなもあまり仲良くしてほしくないらしいんだ。
派閥争い的なものだろう。
「そういうのはマジ勘弁だよ」
別世界に来てまでそんな派閥争いなんてしたくないのが本心。
巻き込まれたくないのも本心。
純粋に訪問を喜びたいのも、本心。
「何考え込んでんだ?」
…何よりも、ギルベルトさんに勝手に忍び込んで、お茶を飲んでほしくないのが…本心だ!!
「ギルベルトさん…!もう、言ってるじゃないですか…!レディーの部屋に無言で入ってくるのが、あなたの正義ですか!?」
「う、お前痛いこといいやがるぜ!どこでそういうスキル身に付けた!?」
そういえば、最近ギルベルトさんに精神的ダメージを与えるのがうまくなった。
人間ね、強かにならなきゃ何も守れんのよ。
「最近イヴァンさんが頻繁に遊びに来るんですよ」
「ああ、…アイツね」
ギルベルトさんは少し間をおいて頷いた。
「アイツだってなんか悩みがあるんじゃねえの?」
怖いけど、とギルベルトさん。
彼は派閥からも抜け出た自由人。
そこは羨ましくはある。
「多分今日も…」
「げ!」
ギルベルトさんはそう言ってさっさとずらかろうと腰を上げた。
「ふふふ…逃げさない!」
私はギルベルトさんの腰に抱きついた。
「ちょおま…!女なんだろーーー!?レディーなんだろ!?」
「あなたは何を言っているのでしょう。菊は男です」
そんな問答をしている間にギルベルトさんのベルトが緩み、ドサッと重たい音を立ててズボンが落ちた。
「菊くーん、玄関の鍵が開いてたから…あ…」
パンツ一丁の彼の腰に抱きつく私を、イヴァンさんは終始笑顔で見つめていた。