第6章 長期滞在になってまいりました。
「…ということから、私が村崎という別人女性であることは周りには隠していてください。
そして、ルートさんもなんかかわいそうなんで気づいてないふりをしておいてください」
私はルートさんたちと別れた後、ワン切り履歴の中のギルベルトさんの番号にかけなおし、一通り事情を説明した。
「…はあ…。なんだ、思った以上に複雑な理由があるわけだな。俺はてっきり何かの陰謀が渦巻いているのかと思ったぜー。
まあ、おもしろそうだし、俺も一口乗ってやるよ」
そう言って力瘤を作って見せるギルベルト兄さんは、少しだけたくましく見えました。
この人、ただの不憫じゃ…ないんだぜー!