第6章 長期滞在になってまいりました。
「さあ…。あっ、しぐさがな。…少し違うかもしれないけど…!いや、気にするな!俺は全然何もそんなお前に色気とか感じてねえし!」
「いろけ!?うわわわそ、そんなものないですよ!生れてこの方一切かもし出たことなんてありませんから!」
なぜか俺と本田は真っ赤になってしばらく無言でうつむいていた。
何この空気!?
その後、しばらくぎこちなくなったが、俺たちは世間話(おもにアルフレッドについて)などをして過ごした。
そうやって時間は過ぎ、帰る間際、軒先で本田が俺に言った。
「アーサーさん。今日はありがとうございました。…少し気が楽になりました」
「ん?おぉ。…俺は結局お前の秘密は分からなかったけどな」
「!」
なんとなしに言った言葉に、本田は非常に動揺したような顔をした。
「私、に、秘密なんて…どうしてそのように感じたのですか?」
「…勘だ。
お前もさ、秘密の一つや二つ誰にでもあるんだぜ?少し神経質になりすぎじゃないのか」
あんまり動揺されると逆に気になるし、と言うと、「そうですよね」と本田はぎこちなく笑った。
話せば、少しは楽になるんじゃないのか?
そう言いたかったが、本田が悲しそうな顔をしているので俺はどうしても口に出せなかった。
ただ、抱きしめたくなる衝動を抑えるだけで俺は精いっぱいだった。
(…俺は、本田のことが好きなのか?)