第5章 どんだけ夏まっさかり!
「お兄様、お姉さまをしっかり守ってくださいましね」
「ああ、そのつもりで来た。…お前も人の心配ばかりしているんじゃないぞ」
「私はこう見えても強いです」
お兄様は怪訝な顔で私を見ていましたが、お兄様は少し私を心配しすぎなのです。
でも、困ったことに私たちはお姉さまを見失ってしまいました。
「手分けして探しましょう」
と私は言いましたが、お兄様は首を横に振りました。
「いや、二人で探す。お前の身も心配だ」
そんな悠長なことを言っていられません。全力で走っていればいいのです。
私はお兄様の制止を振り切って走り出しました。