第3章 とりかえばやがばれないように行動しましょう。
「あの…すぐ開けられなくてすみません…。ここは私の家じゃないので、勝手に上げられなくて」
「リヒ…さん?」
「そうです、確か本田さんですよね…?」
リヒさんは私と話しながらもちょこちょこと動き回り、私にバスタオルを貸してくれた。
「あの、私こそすみません…。入ってから聞くのも申し訳ないんですが、ここは、どなたの家ですか?」
「はい。ここはバッシュ・ツヴィンクリ様のお屋敷です」
「ば・バッシュさんの…」
少し予想ができたものの、私は生きてここから出られるだろうか。
と、その時、外から二発の銃声が聞こえた。
「貴様ら!ここが誰の屋敷か知っての侵入か!?」
銃声のあとを、怒れる声が追う。
「ば・バッシュ!あの、君の家に菊が…」
「うるさい!そんな格好で何を言われても聞く耳が持てるか!!3数えるうちに出ていけ!!いーーーち、に」
「うわああああああああ」
そんな会話を私たちは黙って聞いていた。
(ごめんね、フェリシアーノさん)
ちょっと申し訳ない気持ちになったが、出ていくわけにはいかないのだ。あとで謝っておこう…生きて帰れたら。