第3章 とりかえばやがばれないように行動しましょう。
…いつからこの人うちにいたんだ?
「兄さん、今はそれどころじゃない後にしてくれ」
「いや、ルートさん待って」
「ケセセ!本田、意外と朝パン派なんだな」
そう言ってギルベルトさんは懐からホカホカの食パンを出した。
「うわわ、ちょっと…ギ!」
私は急いでギルベルトさんから朝ごはんを奪い返そうとして玄関の石段に足をつまずかせた。
「おっと」
反射的に目の前にいたルートさんが私を支えた。
「なんだよルッツ、本田にやけに紳士的じゃねえか」
「いや、…ちょっと大切なことを思い出しただけだ」
そう言って私をちらっと見、小さく咳払いをした。
「ふぅぅぅん」
なぜかだんまりとしてしまったルートさんに、ギルベルトさんはいぶかしげな表情で私を見た。
…ルートさん、隠し事苦手だな…
(フェリシアーノさんのこと、言えないじゃない…)
でも、ルートさんの手が触れたことが恥ずかしくて、私はうつむくことしかできなかった。
「お兄さん、来たよー」