第6章 推し?
「坂木、いい匂いがするぞ」
そう言ってきたのは、目の前で変な動きをしながら喋りかけてくる岩崎だ
こいつは、変なところで勘がいい
「下宿の芳香剤の香りが移ったんだよ!」
「そうか!坂木にしては甘い香りだと思ったもんでな、ハハハ!」
そう言って、岩崎は去って行った。
原因はわかってる。あの日、安栖咲に返してもらったハンカチだ。元々男臭い官舎わかる奴にはわかるか‥
そのまま使ったのは間違いだったな。
と、そんな事があったのは1ヶ月前の話。
安栖と会い。連絡先を聞かれ交換をしてから少しのやり取りをした。だが、忙しさを理由に何もない普段通りの生活が過ぎていくだけだった。
それでも、1か月経って分かった事がある。安栖咲と所属しているグループのaileは普通に生活をしていても耳にする事が有った。という事だ‥むしろ、今まで知らなかった事が嘘のような人物だったらしい。
部屋会の際には二学年が安栖のことを可愛いと言い、カラオケではPV付きの歌を熱唱していた‥画面に映るその姿は、化粧の違いはあれど、この間同席した姿と同じだった。
画面に流れるメンバーの中で、安栖が1番写っている様に感じる、後輩にその事はあえて聞かずとも知っている知識を教えてくれた。
安栖咲は、このグループの1番人気の子で握手会でも長蛇の列ができるほどらしい、そいつは、握手会に参加したが可愛かったと嬉しそうに教えてくれた。
また、校友会の親睦会では4学年が
「オレは、咲ちゃんにガチ恋をしてる!!」
「‥確かに、可愛いですよねー。でも、俺はイト派だな」
「私は、ユウ様派。」
「先輩と推し被りしましたー!咲ちゃんです!」
「オレの、咲はやらねぇ!!」
その、会話がじわじわと他の席の奴らにも広がり誰が好みなのかを口々に発していた。
推しと言うのは、好きと言う意味の用語なのだろう