第5章 カクテルの名前
「もし良かったら…連絡先教えてください!」
女性、男性を問わず自分の口からこの言葉を発したのはいつが最後だろう。
まさか、同業者でもない坂木さんにこの言葉を使う日が来ると思わなかった。
「忙しい、あまり連絡返せないからな」
「それは、私もなので…」
「ならいーけどよ」
そう言ってスマホの画面に写ったQRコードをを差し出してくれた。
それなのに私は、あまり使う事のない機能に操作にもたついてしまう。
「画面見ても平気か?」
「ごめんなさい…使い方わからなくて、お願いします」
ポンポンと坂木さんが私のスマホの画面を押す。そして、坂木さんが自分のスマホを確認し操作をすると、私の手元でスマホがブルッと震える
画面に表示された筋肉のアイコンに少し驚いたが初期設定のままの私なんかよりも、使いこなしている感じがして、大学生だなと言う感じがした。
「これで、いいな…帰るか」
「はい!…坂木さん、本当にありがとうございました」
そう言って私と坂木さんは別々の道で帰っていった。