第5章 カクテルの名前
「シャバの事詳しくなくて申し訳ない‥」
「私こそすみません。もう、私の事知ってると思って‥その、驕っていました。そしたら、タクシーもヤバい女ですよね‥本当にすみません。変なものじゃないんです!その、中学生の時からアイドルをしてて、aile(エル)と言うグループで活動してます。安栖咲って言います。」
「すみません‥坂木龍也といいます」
本当に知らないんだ‥私の頑張りまだまだだったんだ。勝手にみんな知ってると思ったけど意外とそうでも無かったんだ、と頭の中でグルグルと考える。けど、最期に行き着いた謎はシャバってなんなんだろう‥だった、私も謎だけど、坂木さんも謎の多い人なんだと自分の中で結論付けた。
「ハンカチありがとうございました。‥それと、私が年下のようですね。なので敬語やめてください」
そう言ってハンカチと可愛く包装された小さなチョコレートの入った紙袋を渡す。
「それなら、敬語をやめる。あと、そのハンカチ捨てていいって言ったのに、気を遣わせちまったな」
「いえ、男性であんなに綺麗にされている方初めてで大切なのかな‥と」
「プレスか」
「プレス?」
「‥悪い、言ってなかったな。オレは防 大に通ってんだ」
防 大‥単語にピンと来なくて返答が遅れてしまったが、坂木さんはエリートなんだと喋り方やハンカチの扱いで“安易”に思ってしまった。
お互いの事が全くの別世界で、共通の話題を見つけるのは難しそうかな?と感じた