第15章 15話
義勇さんは体を屈め、私に顔を近づけた。義勇さんの匂いが強くなって、私は浅く呼吸をすると彼の匂いを嗅いだ。
「愛してやらなければと、思った。突き放しても、お前は追ってこれるし、ずっとそばにいてくれる。剣を振れずとも弱くなんてない。俺なんかよりずっと強い」
耳元にかかる吐息が熱くて驚く。義勇さんは巧言令色とは程遠い人物だから、この言葉は彼が懸命に紡いでくれたものだとわかる。
義勇さんは、私の肩に顔を埋める。身長に差があるから彼は苦しそうな体勢になる。密やかに、囁くように彼は私の耳に息を吹き込んだ。
「ねえさんの墓参りについてきて欲しい」
私は頷いて、覚悟を決めた。死ぬまで一緒だと、義勇さんと共に生きていく覚悟を。