第11章 10話
残響が消える頃、竈門くんは煉獄さんそっくりの、お兄さんの笑顔を浮かべた。あぁ、この子も長男なんだ、と確信する。
「冨岡さんのことが、好きなんですね」
「えぇ、好きです、大好きです」
私があまりにあけすけに答えるものだから、竈門くんは赤面した。
「竈門くんもそうでしょう?」
「そうですね。優しい人です」
「……誤解のされやすい人ですけど」
ふわりと竈門くんは笑い、わかります、と頷いた。もう覚悟は出来ていた。
障子の隙間から透明で美しい日光が差し込んできた。私はきっと、それに照らされて微笑んでいる。良い朝だなぁ、と思った。
「竈門くん、義勇さんの家を教えてくれますか?」