• テキストサイズ

わらべ歌【冨岡義勇】

第10章 9話


少し分けてください。あなたが抱えているものを、私にも分けて、背負わせてください。あなたのその硬い表情が少しでも解れるようにしてあげたい、つらいことがその身に振りかからないでほしい。義勇さんにとって世界が、もっと良いものになって欲しい。口には出せずに、私はずっと考えていた。

ゆびきり、指切りしたいんです。約束して、義勇さん。私とあなただけは、何があって一緒にいるって。そばにいてあげるから、あなたの人生はもっと楽しいんだって、教えて差し上げるから。あなたが死んだら私も死ぬから、どこまでもご一緒するから、私をそばに置いてください。

――ゆびきりげんまん、うそついたら。

子供の高い声が、どこからか聞こえる。恐らくこれは幻聴か、昔の記憶からのものだ。

いつだって、子供はふたりいる。わたしと、あとひとり。そのひとりは絶対にあなたであってほしいの、義勇さん。

義勇さんと、ひとつになりたかった。私も彼の一部になりたかった。

わたしは彼の顔にぐっと顔を近づけた。唇と唇が触れ合いそうな距離にまで近づく。彼は、流石にそんな気分にはならないのか、私に口付けはせずに顔を背けた。

私は大きな体にもたれかかって、体重を預けていた。とある、画策をした。こんな時だけやけに頭が冴えた。
/ 56ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp