• テキストサイズ

わらべ歌【冨岡義勇】

第5章 4話


硬い手のひらが私の手の甲に触れる。離れる瞬間、彼が私の手を軽く撫でた気がしたが、おそらく気の所為だ。そう、言い聞かせた。

見下ろしつつ彼の表情を伺った。冨岡さんの切れ長の目は、射抜くようにこちらに向けられていた。目を合わせると、私はにっこりと笑った。わざとらしさすら感じさせるほどだった。

結局、その日冨岡さんは私に用事があったのか、尋ねることはできなかった。ただ、好きだという言葉だけが私の耳にこびりついていた。すきだ、すきだ。料理を作りながら、頭の中で反芻した。どういう意味だろう。
/ 56ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp