第1章 『最終選別』
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──最終選別が始まって七日。
「お帰りなさいませ」
朝日が差し込む中、最初に集まった場所には
・・
案内役であるおかっぱの二人と、四人の剣士の姿が見えた。
花札の様な耳飾りの少年、黄色い頭の少年、蝶の髪飾りをつけている少女、顔に傷がある少年。
各々がそれぞれの面持ちでそこにいたが、藍色の瞳を持つ、そして同じ色の羽織の少女の姿はなかった。
──それもそのはず、藍華は未だ山に篭って鬼を狩っていたのだから。
”…二つ約束して。無理はしない事と、時間を常に確認する事”
それに対して約束すると誓ったのは何処の誰だったのか。
決して七日という期限を忘れたわけではない。時間――太陽の動きも注視している。無理もしていない。
ただ、日にちを確認していないだけなのだ。
千代の言った"時間"とは、時刻的な意味も日付的な意味も含む、広い範囲を指したのだが、果たして藍華は理解していたのか。
いや、理解していても守れるかは別の話だが。
完全に日が昇ったら見つけたポイントで休息を取り、昼過ぎに起き出す。
藤襲山での鬼狩りに集中していた藍華の頭の中は、とにかく鬼を狩ること、ただそれのみ。
それ以外は隅の方に追いやられていた。
「…ふわぁ、」
丁度二人の案内役が最終選別を突破した四人に今後の説明を始めた頃、藍華はあくびをかみ殺した後、夢の世界へと旅立っていった――