第3章 眼鏡にスーツ[煉獄杏寿郎]
ふーーーーっと、大きな溜息を煉獄はつく。
その反応を楽しむかの様にトリはキラキラした目で煉獄を見ていたが、匂いで察したのか、あれ、どうしようと、おどおどし始める。
(なんで、煉獄さん、何も言ってくれないんだろ…。なんか、怒ってる匂いもするし…。私から謝らないと駄目か…)
予想外に反応が無くて困ってしまったトリ。
「からかってごめんなさい。ご飯の準備出来てるから着替えて来て下さい。私も今着替えて来ます、から…え?」
言い終わる前にトリは振り返り、煉獄の元を去ろうとしたが、右手をパッと掴まれて、離れる事を拒否されてしまう。
そして、ぐっと、引き寄せられて煉獄の顔がトリの目の前に近づけられる。
びきっと額に青筋を立てながら顔は笑っているが、目が笑っていない。
憤懣と、強い欲情の匂いがトリの鼻に入る。
その煉獄の勢いに、背筋がゾクリとする。
「…先生ぇ、ごめんなさい…」
そんなに怒ると思っていなくて…と、大きな瞳に薄らと涙を溜めながら。
んっ、と、後頭部を煉獄の大きな手で押さえつけられて煉獄とトリの唇が合わさる。
「んッ、ぁっ…んんッ」
あっと、唇を開けた瞬間にヌルッと煉獄の厚い舌がトリの小さな口に入り込む。
トリの舌を絡め取ると、じゅるっと、キツく吸い上げて歯で甘噛みをする。
んんッと、身体が硬直し、腰が落ちそうになるトリを支えて、立ち上がらせる。
「トリが、こんな悪い子だなんてな。悪い子にはお仕置きが必要かな?」
と、低く艶のある声を耳元で囁かれ、んんっと、また身体をびくつかせる。
ほら、掴まりなさいと、ひょいっと、お姫様抱っこをして首に両腕を回す様に指示する。
「せ、先生…ご飯冷めちゃう…」
「ご飯は惜しいが、トリの悪い所を叱らんとならんだろう?」
悪戯した悪い生徒にはお仕置き、だ
抱き上げたトリの耳元で甘く囁いて、耳殻を甘噛みされる。
ぴぇっと、変な声を出して、怒られた事が無いトリは煉獄の言葉に心臓を高鳴らせた。
ガチャリと、寝室のドアを開けて、ベッドにトリをベッドに座らせる。
獲物を射抜く様な獅子の鋭い瞳に囚われてトリは視線を外す事が出来なかった。