第1章 背伸び [煉獄杏寿郎]
「…馬鹿者が…」
「え、馬鹿って何で、んんっ」
言い終わる前に煉獄はトリの唇を塞ぐ。
煉獄から視線を外せないトリ。
優しく頬を撫でながら唇を塞ぐ。
煉獄の舌が、トリの唇、歯、歯茎をなぞり、あっとトリが口を開けた瞬間、煉獄の厚く熱い舌がぬるっと口の中に入ってきた。
「んん…んぅっ…ぁふ…ふぅんッ」
煉獄は舌と舌を絡ませたり、じゅるっとトリの舌を吸い上げたり、優しくトリの頭を撫でながらキスをする。
「どれだけトリに触れるのを我慢して嫉妬したと…」
ぷはぁっと、大きく呼吸をしたトリを見て、くくくっと喉で笑う煉獄。
だって…苦しくて…と、照れて恥ずかしがっているトリを見て
愛いなと、耳元で呟くと、また艶のある女の顔になる。
「耳、弱いんだな、トリ」
トリの耳元で好きな人の低い声が吐息と共に掛けられる。
お腹の辺りがキュッとなって、少し身体が硬直する。んんっと、唸り、身体も熱くなるのがわかる。
意地悪な顔をした煉獄の顔をトリの目の前に置かれた。
びくっと、トリが反応するのは煉獄が指で触れている左耳。
すりっと指でトリの耳殻の形をなぞり、親指で耳の入り口に触れる。
トリは、んんっと右側に顔を背けてほとんど力の入っていない自身の手で煉獄の胸を押す。
露わになっている左耳に煉獄は顔を近づけて唇を落とす。
ちゅ、ちゅっと、わざと音を鳴らしたり、舌でくちゅっと舐めあげたり。
つーっと唇を首筋に下ろしていき、ほんのり紅くなり汗ばんでいる首筋を舐める。
優しく優しく、大切に触れる煉獄。
するりと、トリは煉獄の頭に触れて撫でる。
煉獄さん…と弱々しく頭上から呼ぶものだから、どうした?と、顔をトリの方へ向ける。
「…私に杏寿郎さんの物だと…痕、付けて下さい…」
次会う時まで持つ様に、濃い痕を付けて下さい…と、とろんとした、潤んだ艶のある表情で煉獄に言う。
きょとんと、面を喰らった表情をした煉獄だが、苦笑いをして、奥歯を噛み締める。
はぁっと大きなため息をついて、
「優しく大事に扱おうと思っていたが、そんなに煽ると優しく出来ないぞ?」
そう言いながら強く抱き抱えて身体を起こし、優しくトリの服を脱がせていく。