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鬼滅の刃  嫉妬

第1章 [煉獄杏寿郎]


「え… トリ?」

開けますよ。と、スッと障子が開らかれる。
そこには三つ指を付き、着物を着たトリが居た。

逢瀬を願っていた意中の相手が目の前に現れ、動揺を隠せない煉獄。
(聞かれた、か?)
あんな恥ずかしい、女々しい事を…と、聞かれたかもしれないと焦り嘆き、
いつも名字で呼ぶのに名前で呼んでしまい、眉尻が下がり、顔が紅潮する。

ふーっと乱した呼吸を整わせて、何事もなかったかのように冷静にトリに言葉を返す。

「ど、どうしたキイロイ。急に。部屋に来るなんてそんな急用な用事でも」
「私と一緒に日向ぼっこをしませんか?」
は?と、煉獄は面をくらってしまう程、にこっと笑って煉獄を見つめる。
そして、煉獄の返事も待たずに手を取り、こっちです。と、足早に外へ連れて行かれる煉獄は後を付いて行くしかなかった。




「ここです。」
と、幾つもの廊下を渡り、扉を開けると大きなどんぐりの木がある庭に着いた。
(こんな場所、あったのか…)
長年、胡蝶屋敷にはよくして貰い世話になっているが、煉獄でもこの場所には来た事がなかった。
「ここは、カナエさんが教えてくれた所なんです。たぶん、しのぶちゃんも知らない。私の特別な場所です。」
と、煉獄の心を読んだかの様に言うトリ。
「そんな特別な場所に…」
俺なんて。
と、言葉を続けようとするとトリに遮られた。
「特別な場所だから杏寿郎さんをお連れいたしました。」
さぁ、行きましょう?と、煉獄の方を向いて微笑むトリから目を離さずにいると、さぁ?と、手を出され、その手を熱く強く優しく握り返す煉獄。
ふふっと笑い、少し紅潮している様に見える頬、着物から見える襟足、うなじ、手から伝わる暖かさと、ふわっと香る癒しのトリの匂い。

木の側まで来て、うーんとトリは唸りながら座る場所を考えているらしい。
ここにしよっと、風呂敷を広げて、その上にトリはちょこんと座る。
「さあ、どうぞ!」
…は?
「は?じゃなくて、ここに頭を置いて寝転んで下さい」
煉獄は思考が停止していた。停止というか、必死に処理をしていた。
「ここ、貸しますので、ゆっくり療養してください。」
と、ぽんぽんと叩いている場所はトリの太腿で。
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