第2章 撮影ホステージ!【レオナ】
ポイ、とレオナが雑にカメラを放り投げた。
「あッ、なんで投げるの!」
「うるせぇ、もうカメラの話は終わりだ。」
「勝手に終わらせないでよ。あ、そういえば、わたしレオナの写真が撮りたい!」
他の生徒の写真は数あれど、肝心のレオナが映っている写真は一枚も持っていない。
欲しい、絶対に欲しい。
「はあ? そんなのいくらでも一緒に撮ってやるよ。」
「あ、ううん。わたしはいいの。レオナだけの写真が欲しいな、観賞用に。」
「……。」
ゲームと現実は違うと認識しても、いきなり今までの生活や性癖は変えられない。
どの世界で生きようとも、ヒカルはヒカルなのだから。
「えーい、隙あり!」
――パシャリ。
レオナが放り投げたカメラを拾い、無造作に一枚撮った。
どんなアングルで写真を撮っても、美形は美形。
途端にレオナが不快そうに眉を顰めるけれど、気にしない気にしない。
「おい、勝手に撮るな。」
「さっきはいいって言ったじゃん。どれどれ……。」
撮ったばかりの写真を確認すると、いつもの気怠げなレオナが…――ぬるりとカメラから飛び出てきた。
「なッ、なんだこいつは! 気持ち悪ぃな……。」
カメラから生まれた、うっすら半透明のレオナ。
クロウリーが言っていた、ゴーストカメラの真なる力。
「ぎ、ぎやぁーーー! レオナが、レオナが二人! え、親密度がMAX!? ああ、レオナ、レオナ、わたしのレオナーー!!」
最愛の恋人が二人に増えたことにより、ヒカルの興奮度ゲージは天井を突き破る。
新たに生まれたレオナに抱きつこうとして突進し、けれども実体がないためにすり抜けて床に転んだ。