第2章 撮影ホステージ!【レオナ】
(そろそろ、大会が終わった頃かなぁ……。)
オンボロ寮でひとり療養していたヒカルは、自室のベッドでごろりと寝返りを打った。
精神的にも体力的にも疲れたヒカルは、今日のマジフト大会には行かなかった。
大会前にユウたちと衝突したレオナは、これまでの不満や怒りに飲み込まれ、オーバーブロットしてしまうだろうが、それは原作に基づき、ユウたちが対処してくれるだろう。
(原作、原作…ね……。)
あれほど大事にしていた原作も、今はどうでもいいと思っているヒカルがいた。
実際の人生は物語のあらすじどおりにはいかないのだと、身をもって知ったから。
今回の事件は、いつまでもプレイヤー気取りでいたヒカルへの罰なのかもしれない。
これからはストーリーに拘らず、自分らしく生きていこう。
(わたしの恋は、気づいた瞬間に終わっちゃったけどね。)
レオナはもう、ヒカルの顔なんか見たくないと思っているだろう。
当然だ、それだけのことをした。
「はぁ……。」
無意識のうちにため息が漏れる。
失恋の痛手はそうすぐには癒えない。
「うーーッ、やめやめ! よし、気分を変えてマジフト大会後の写真でも撮りに行こ!」
ユウから預かったままのカメラを手に、ベッドから飛び起きた。
腰はまだ重いが、たっぷりごろごろしたおかげで回復している。
大会中の写真は撮れなかったが、頑張った生徒たちの顔はきっと清々しく輝いているだろう。
レオナやラギーは、今頃保健室のベッドで寝ているだろうから、鉢合わせる心配もない。
「よし、行くか。」