第2章 撮影ホステージ!【レオナ】
談話室のソファーに座ったヒカルは、ユウからカメラを手渡された。
レオナたちに誘拐される原因となった写真のデータは今もカメラの中にあって、念のために確認してみたが、やはり静止したまま動かない。
「……やっぱり、親密度が足りなかったね。」
「しょうがないよ、あの状況で仲良くなれっこないし。」
ユウの言うとおり、仲良くなれるわけがない。
部外者で、敵と認識され、学園側の人間であるヒカルがラギーと……レオナと仲良くなれるはずがなかったのに。
「ヒカル、大丈夫だよ。サバナクローの悪事は、自分たちが絶対に止めてみせるから。……だから、そんな顔をしないで。」
「え……。わたし、変な顔をしてた?」
「……うん。なんか、悲しそう。」
鏡がない談話室では、自分がどんな顔をしているかがわからない。
悲しくなる必要も、理由もないはずで、視線を床に落としたまま呟いた。
「……レオナくんのこと、止めてあげてね?」
「え?」
「あんなことをしてるけど、本当は悪い人じゃないから。だから、止めてあげてね……?」
また、余計な口出しをした。
わざわざヒカルが言わなくても、ユウを含めたハーツラビュル寮のメンバーがレオナたちを止めてくれる。
今日起きるはずの未来をヒカルは知っているのに、どうして余計な言葉を吐いてしまうのだろう。
「やり方は間違ってるけど、寮生を想う気持ちはゼロじゃないんだよ。」
ただちょっと、不器用なだけだ。
利益がなければ味方になってくれないけれど、でも、本当の本当に困った時には力になってくれる。
強いだけじゃ、畏れられるだけじゃ人望は集まらない。
レオナはちゃんと、優しい心を持ったライオンなのだ。