第2章 撮影ホステージ!【レオナ】
耳を舐め、喉を舐め、何度も何度も飽きるくらいに“好き”の言葉を強要した。
うわ言のように繰り返されるそれに意味なんかないとわかっていたけれど、ヒカルから紡がれる“好き”の言葉が、堪らなく興奮して。
身体を反転させてうつ伏せにし、腰を持ち上げて叩きつける。
獣の交尾と同じ体勢でヒカルを貫き、胸で押し潰すように彼女の肢体を抱きしめた。
限界が近かったヒカルの中がきゅうっと締まり、張りつめたレオナ自身を引き絞る。
「は……ッ、く……!」
あまりの心地良さに目眩がして、欲望に抗わずヒカルの中をがつがつと突き上げると、絶頂への階段を駆け足で上ったヒカルが甲高い声で啼く。
「はぁ……、は、ああぁぁーー!」
「ぐ……ッ」
ヒカルが達するタイミングに合わせ、レオナもヒカルの中へ精を放った。
何度か緩く腰を動かし、迸る白濁を撒き散らかすと、ぐったりと気を失ったヒカルを背後から抱き込んだまま横になる。
ヒカルを抱きしめていると、マジフト大会も故郷での扱いも、なにもかもがどうでもよくなってくる。
『王様になりたいわけでもないのに、いつまでも不遇を嘆いて拗ねるレオナは、子供みたいだね?』
不意にヒカルの言葉が蘇ってきて、彼女の髪に鼻先をうずめた。
(そうかも、しれねぇな……。)
言葉は違えど、兄からは幾度となく諭されてきた。
それを素直に受け入れられなかったのは、結局、レオナが子供だからではないだろうか。
成人を過ぎた、大きな子供。
馬鹿らしい、なんて馬鹿らしい話なんだろう。
そんな陳腐な言葉で片付けられるほど、レオナの苦悩は軽くない。
でも、それでも、なにかが吹っ切れた気がする。
ふあ、と大きな欠伸が出て、抱き込んだヒカルに足を絡める。
(面倒なことは、後回しだ。こいつには、明日…必ず……落とし前を…――)
最後まで気持ちが纏まらないうちに、レオナの思考は眠りの世界へ沈んでいった。
大丈夫、どうせ逃げられやしない。
けれどもそう思っていたのはレオナだけで、翌朝目覚めてみると、抱きしめていたはずのヒカルの姿は忽然と消えていた。