第2章 撮影ホステージ!【レオナ】
ヒカルがこんなことをしなくても、言わなくても、レオナには自分で前を向いて進む力がある。
完全なるお節介。
完全なる余計なお世話。
ただレオナの気分を害すだけだと知っていながら、なぜヒカルは余計な口出しをしてしまったのだろう。
いくら考えてみても、答えなんか見つからないけれど。
レオナの手によって暴かれた胸に、大きな手のひらが這う。
散々心の傷を引っ掻き回したヒカルなんて手酷く扱えばいいのに、レオナの手は昨夜と同じように優しく温かい。
キスの代わりに親指を口腔に突っ込まれ、湿った舌は首の筋を辿って下へ下へと落ちていく。
「あ…く……ッ」
下着を剥ぎ取られた胸を直に触られ、ぞわりと震えが走った。
久しぶりの行為にも身体は正直で、胸の頂がぴんと勃つ。
「グル、グルルル……ッ」
鎖骨まで下りてきたレオナの口から唸り声が漏れ、荒い吐息がヒカルの肌を擽った。
久しぶりなのはたぶん、ヒカルだけではないはずだ。
男子校であるカレッジで、女遊びができる可能性は皆無。
息の荒さが興奮度合いを語っていて、なぜだか泣きたくなった。
「ん……ッ」
鎖骨の下に唇を寄せたレオナが、ヒカルの肌をきつく吸った。
鈍い痛みは痕となって白い肌を彩り、吸いつくたびに点々と軌跡を残していく。
永遠に消えなければいいのに。
そんなふうに思ったのも初めてで、この世界に来てから、レオナに出会ってから、初めてのことばかり。
美しい指先が胸の先端を弄り、ヒカルの腰がびくりと跳ねた。
「あ、んん……ッ」
「敏感だな。王にもなれない男に触られて、悔しくはないのか?」
勘違いをしないでほしい。
ヒカルはレオナが王族だから好ましいと思ったわけではない。
それこそ最初は外見や声に惚れたけれど、兄と確執があると見せかけて甥を可愛がっていたり、なんだかんだ監督生を見捨てられなかったり、マレウスと大人気ない喧嘩をしたり。
そういう格好良くて、可愛くて、大人気なくて、頼もしいところに落ちたのだ。
きっとレオナには、一生伝える日は来ないけれど。