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Change the world【ツイステ】

第2章 撮影ホステージ!【レオナ】




ヒカルの発言は、レオナのトラウマに触れる発言だった。

わかっている。
言葉は慎重に選ばなくちゃ、相手を傷つけ、自分も傷つく羽目になるのだと。

でも、ヒカルはどうしてもレオナに言ってやりたかった。

「マレウスなんか、どうでもいいくせに。」

「なんだと?」

「本当に見返したいのは、マレウスでも学園でも、メディアでもないんでしょ?」

胸ぐらを掴む手に、力がこもる。

ヒカルは知っている。
レオナが勝ちたいと思っているのは、ディアソムニア寮長でもなく、学園でもメディアでもない。

「本当に見返したいのは、お兄さんと、お兄さんを評価する周りの人でしょ?」

「……ッ」

憐れな第二王子様。
どれだけ努力しても報われず、認められず、決して王位を与えられない王子様。

「お前に、なにがわかる……!」

「……。」

ヒカルは生まれながらに一般市民で、王族の苦悩なんかわからない。
でも、ヒカルが知る王族や皇族の方々は、己の責務を全うしようと努力する方々ばかりだ。

不遇を嘆き、すべてのヤル気を無くした王子様とは違う。

「自分だけが、不公平なんだと思わないで。」

世間には、不平等な話がそこかしこに転がっている。
学歴や性別、生まれや育ち、国籍、貧富差。
努力だけじゃ報われないことなんか、珍しくもなんともない。

暖かい家があって、飢える心配もなく、十分な教養を与えられる境遇が恵まれていると、なぜ気がつけない。

「王になれない俺と、王になる必要がないお前らとじゃ、事情も苦悩も違うんだよ……ッ」

グルルルッと喉を鳴らして唸る獣を、今度こそ鼻で笑った。

あまりにも、おかしかったから。
だって、レオナは、本当は……。

「本当は、王様になんかなりたくないくせに。」



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