第2章 撮影ホステージ!【レオナ】
2章でレオナの邪魔をしてくる人物は大きく分けて二人。
ユウとジャックである。
特にジャックは厄介で、彼はサバナクローの内情を知っていた。
正義感が強く、強情で曲がったことが大嫌いな彼は最後までレオナと対立し、苦悩の種となる。
ヒカルがいるこのツイステの世界でもそれは変わらず、レオナの苛立ちは最高潮。
「チ……ッ、あの野郎。調子に乗りやがって。」
少し締め上げれば根を上げると思われていたジャックは、腕っぷしの強さと持ち前の熱血でレオナを翻弄し、両者が和解することはなかった。
レオナにとってジャックは大事なマジフト大会の選手。
昨日の寮生のように過剰な暴力で屈服させるわけにもいかない。
夜になり、大会を明日に控えたレオナの神経は過敏になっていた。
ゲーム内ではいつでも余裕綽々だったのに、意外な一面だ。
でも、それはそうだろう。
この世界で生きるレオナは決まったセリフしか言えないキャラクターではなく、喜怒哀楽を持った人間なのだから。
今、部屋の中にはレオナとヒカルの二人だけ。
張りついていた監視役もレオナの帰還と共に姿を消し、聞き耳を立てる者もいない。
ヒカルと二人の空間でこうした本音を吐くのは、ヒカルに心を許してくれたのか、それとも空気と同じ存在だと思っているのか。
まあ、恐らくは後者。
一方、ヒカルの中では複雑な気持ちが大きくなってきた。
レオナが自分の前で本音を吐くのは嬉しい。
でも、彼がしようとしていることの意味を、理解できなくなった自分がいる。
最初から敵わないと決めつけられ、弱者のレッテルを貼られることをレオナはなによりも嫌う。
気持ちはわかる。
ラギーや寮生のために、マジフト大会で花を持たせる場を作ってやろうという気持ちも、きっと本物だ。
でも、だけど……。
「そんなことして、意味なんかあるのかな……。」
耐えきれなくなったヒカルは、つい本音を漏らしてしまった。