第2章 撮影ホステージ!【レオナ】
翌朝、ヒカルが死んでいる間にも、サバナクローとユウたちの戦いは続いていた。
ユウたちはカメラを渡さず、レオナたちはヒカルを解放せず、戦いは平行線のまま。
「どうするんスか、マジフト大会はもう明日ッスよ。もう、無理やりカメラを奪っちまった方が早くないッスか?」
このマジフト大会を誰よりも重要視しているのはラギーだ。
ラギーはカレッジ卒業後、条件の良い就職先を探すことに命を懸けている。
最大の自己アピールの場であるマジフト大会は、絶好の機会なのだ。
「焦るな、馬鹿。向こうだってカメラを持ちながら手をあぐねているのは、人質のせいで強気に出れねぇ証拠だ。このままいけば、俺たちの勝ちは変わらねぇ。」
なんて、いかにも重要そうな話をヒカルの前でしないでほしい。
レオナの部屋で、あえてヒカルの前で話をするのは、ヒカルを見くびっているわけでも信じているわけでもなく、単純に反応を見たいからだ。
狡猾なライオンとハイエナはヒカルを無視しているようで視界にきっちり捉えていて、表情のひとつまで注意深く観察している。
(わーん、怖いよぅ。迂闊に顔に出せない!)
ユウたちはたぶん、ヒカルを心配してカメラをクロウリーに見せないのではなく、写真が動き出すのを待っているのだ。
ヒカルとラギーの親密度は一昨日とさほど変わっていなくて、ゴーストカメラの写真も飛び出してはいないだろう。
写真が動き出せば決定的な証拠になるので、ユウたちの勝利が確定する。
一方で、あのカメラが100年前のものとは知らないレオナたちが、ゴーストカメラの性質を知ったとすれば、その時点でレオナたちの勝ちだ。
まあ、どちらにしても、レオナたちの作戦は上手くいかない。
そういうストーリーなのだから。