第2章 撮影ホステージ!【レオナ】
夜のうちになんらかの行動を起こしたのか、ヒカルの失踪がレオナたちの手によるものだと、ユウには伝わっているらしい。
解放条件が、カメラの受け渡しだということも。
ヒカルとしては、ユウとレオナの対立に関与するつもりはない。
が、ここで問題がひとつ。
「え、外に出ちゃダメなの?」
「当たり前じゃないッスか。ヒカルくんはウチの大事な人質なんスから。ふらふら外に出てたら、人質の意味がないでしょ?」
「そりゃまあ、そうだけど。でもさ、わたし、仕事があるんだよね。」
「あらー、災難だったスねぇ。それもこれも、ヒカルくんが監督生くんに協力しちまったからいけないんスよ?」
他人事か、この野郎。
確かにうっかり写真を撮ってしまったヒカルに原因はあるけれど、それとこれとは別問題。
溜まった仕事はヒカルが復帰した時にどっと押し寄せてくるし、かといってユウたちが気を利かせてやってくれるとは思えない。
彼らはきっと、ヒカル誘拐大事件に奔走しているはず。
「じゃ、変装して仕事するから。」
ヒカルとしては最大の譲歩のつもりだったのに、ラギーは馬鹿にしたようにぷぷーッと笑う。
「ぶふ……、変装って! 冗談にしても笑えないッス!」
「……笑ってんじゃん。」
レオナやラギーにとっては、ヒカルの仕事がどうなろうと知ったことではないのだろう。
そんなことはわかっているが、働くヒカルにとっては死活問題なのだ。
解放後の膨大な作業を想像して遠い目をしたが、そんなヒカルに助け舟を出したのは意外な人物。
「……ラギー、一年坊を何人か駆り出して、こいつの仕事に当ててやれ。」
「え!?」
マジフト朝練後の談話室でぐうたらしていただけのレオナが突然口を出してきたので、ヒカルは驚いて飛び上がった。
まさかレオナがヒカルの味方をしてくれるとは思わず、涙が滲む。
優しい、好き。