• テキストサイズ

Change the world【ツイステ】

第2章 撮影ホステージ!【レオナ】




ヒカルを部屋に迎え入れたのは、意趣返しのつもりだった。
普段自分にだけよそよそしい態度を取っておいて、好意を持つ相手には尻尾を振る草食動物への復讐。

けれど、そんな些細な復讐心はヒカルが部屋の隅に布団を敷き、横になった時点で消え去った。

元より、女をいたぶる趣味はない。

(らしくねぇことをしちまったな。別にあいつが誰と仲良くしようが、俺には関係ねぇだろうが。)

関係ないはずなのに、どうしてあんなに腹が立ったのか。
あの驚いたヒカルの顔が脳裏から離れず、いつもならとっくに眠れる特技が発揮されずに目が冴える。

もぞり、と衣擦れの音がした。
どうやらヒカルも眠れないようで、先ほどから寝返りばかり繰り返している。

仲良くもない男の部屋で、人質同然の扱いで放置されているのだ。
安心して眠れる方がおかしい。

そしてレオナは、本来であればどこでもすぐに眠れるタイプ。
不便を強いているのはこちらなのだから、今夜くらいレオナが外へ出てやってもいいだろう。

そう思って起き上がりかけた瞬間、僅かな差でヒカルの方が先に布団から抜け出てきた。

レオナが寝ていると思っているのか、足音を殺しながら部屋のドアをそっと開けた。

(……どこへ行くつもりだ?)

慎重に部屋から出ていったヒカルを視線だけで追いかけて、今度こそレオナもベッドから下りる。

(まさか、ラギーのところに……?)

ありえなくもない。
先ほども、談話室でも、彼女はラギーの部屋に行きたがっていた。

夜這いをするほど大胆な女には見えなかった。

放っておいても問題はない。
押し掛けてきたヒカルをラギーがどうするかは本人に任せればいい。

人の恋路を邪魔する者は馬に蹴られる。
そう考えてベッドに寝転がったものの、やはりヒカルの顔が頭から消えず、レオナは舌打ち混じりに起き上がり、ひっそり出て行った彼女のあとを追いかけた。



/ 426ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp