第2章 撮影ホステージ!【レオナ】
「あ? なにをしにきた。」
食後だというのに、すでにベッドで横たわっていたレオナが機嫌悪くヒカルたちを睨んだ。
「そんな怖い顔をしないでくださいよ。ヒカルくんの寝泊まりする場所を相談しにきただけッスから。」
「寝る場所? そんなの、適当にそのへんに……いや、そうか。こいつは女だったか。」
思い出したように呟くと、面倒くさそうに頭を掻きながらレオナが身を起こす。
気怠げな仕草と表情が、彼にはよく似合う。
「一年坊を叩き起こして、空き部屋の掃除をさせろ。」
「いや、無理ッスよ。物の移動に掃除、寝られるスペースを確保するだけで朝になるッス。」
それみたことか、前準備もなく人質なんてとるから、こういう目に遭うんだと心の中で批判した。
けれど、レオナとラギーのやり取りを他人事のように聞いていられたのはここまで。
「あ、そうだ!」とラギーが声を弾ませた瞬間、ヒカルの心臓は爆破する。
「レオナさんの部屋で寝ればいいんスよ! ここ、無駄に広いし。」
「……ッ!!」
あまりの衝撃に、喉が引き攣って大きなしゃっくり音が鳴った。
ユウやデュースあたりなら、「大丈夫か?」と心配してくれるだろうが、この場にそんな優しい人はおらず、ライオンとハイエナが火花を散らしている。
「ラギー、お前……寝言は寝て言えよ?」
「やだなぁ、レオナさんじゃないんだから、立ったまま寝たりしないッス。」
「なら冗談か? だとしたら笑えねぇなァ。俺に、よそ者と一緒に寝ろと言ってんのか?」
そのよそ者を招き入れたのはどこのどいつですかー?と突っ込みたいのを我慢して、消え入りそうな声で口を挟む。
「あの……、わたしは談話室のソファーとかでも、別に……。」
「却下ッス。ウチの連中、ヒカルくんが思ってるほどお行儀よくないッスから。頭からガブリとやられるッスよ?」
「じゃ、やっぱりラギーくんの部屋で。」
呆れたラギーが「アンタも懲りないッスね」と言いたげな顔をした時、思わぬところから待ったが掛かる。
「却下だ。」
そうヒカルの提案を跳ねのけたのは、自分の部屋からよそ者を追い出そうとしていたはずのレオナだった。