第4章 片恋コンサルテーション!【アズール】
シャツ一枚という無防備な姿で抱きつかれたら、アズールの意識はヒカルの柔らかさばかりに向いてしまう。
どんなに頭が回り、ヤクザ顔負けの度胸と手腕を持っていても、まだまだ青い17歳なのだ。
「あっははぁ、アズール、死にそうじゃーん。」
「え、あ、ごめん。」
フロイドに指摘され、耳まで真っ赤になったアズールから腕を離すと、彼は硬直しながらも少しだけ残念そうな顔をする。
「べ、別に構いませんよ。僕たちはもう、恋人同士なんですから……。」
恋人同士。
胸の内を明かし、互いの想いが通い合ったのなら、当然そうなる。
だが、長らく片恋に縛られていたせいで、ヒカルはそれが現実のものと信じきれないでいた。
「ねえねえ、ヒカルちゃんとアズールが番になったってことはさ、もうヒカルちゃんは元の世界には帰らねってことでしょ?」
「は?」
またその質問か。
しかし、フロイドの問いに呆れた声を出したのはヒカルではなくアズールだ。
赤みが引いた顔は、さも馬鹿馬鹿しいと言いたげな表情へ変わり、「当たり前でしょう」と口にしようとしている。
が……。
「うーん、どうかな。たぶんね。」
「え……、はぁ!?」
てっきりヒカルも同じ答えを口にすると思っていたアズールは、曖昧な返事を耳にして仰天した。
ベッドに膝を立て、ずいっと身を乗り出し、ヒカルの両肩を掴んで揺さぶる。
「ちょ、なんですか、その返事! 僕たち、恋人になりましたよね? まさか、僕を捨てて異世界へ帰りたいとでも!?」
「いや、うん、そういうわけじゃないんだけど、なんというか、やっぱりちょっと自信が持てないかなぁって。」
奇跡的にアズールと両想いになれたことはわかった。
でも、これから先、彼の気が変わらないとも限らず、未来がわからないからこそ、「絶対に故郷へ帰らない」なんて逃げ道を絶つような発言ができない。
口先だけの約束をするくらいなら、正直な気持ちを告げておこうと思ったのだ。