第4章 片恋コンサルテーション!【アズール】
当初の契約どおり、アズールの恋を成就させたヒカルはもう、相談相手の役目を果たしている。
ならばもうアズールに助言する必要はないはずだが、片側一方の条件しか満たしていない契約は満了しておらず、ヒカルは未だアズールの相談役だ。
となれば、彼のマイナスポイントを指摘せずにはいられない。
「げ、減点……? 僕が、減点ですか?」
「当たり前でしょ。人のものを勝手に捨てるなんて、男というより人間として失格。」
若干手厳しいようだが、このあたりの教育はしっかりしておかないと。
何事も、最初が肝心なのだ。
「あっは、ウケる~。アズール、ソッコーでヒカルちゃんにフラれてんじゃーん!」
「んな……ッ!? 待ってください、ヒカルさん! 誤解です!」
せっかく想いが通じた恋人をフッたつもりはない。
でも、どうせなら言い訳くらい聞いてやろうじゃないか。
「あの服はヒカルさんの世界の匂いがして、とても不快でした! だから捨てたんです!」
「うん、なんの誤解でもないね?」
泥だらけになって汚れていたとか、びりびりに破れていたとかならともかく、アズールの言い分は100%自分都合である。
「ご不満なら、新しい服を僕が見繕います。ああ、とても良い考えだ。僕が選んだ服をあなたが着る。なんだか胸が高鳴りませんか?」
高鳴らないし、許してもいない。
なぜそこで素直にごめんなさいと言えないのか。
「アズール、知ってたぁ? 男が女の子に服をプレゼントするのって、脱がしてエロいことするためなんだってさ。やば、アズールってばむっつりじゃーん!」
「……ッ、ほんとにお前は! さっさと僕の部屋から出て行け!」
そっち方面に話題が触れると、途端にアズールの顔が茹で蛸になった。
あいかわらずの初心な反応に、思いがけずヒカルの胸がときめいてしまう。
これでは、うっかり許してしまいそうだ。
「ゴホン……、とにかく! 服がないならわたし、作業着で町まで出なくちゃいけないんだけど。さすがにちょっと、恥ずかしいな。」
すでに時刻は夕方で、もしかしたら職人の店はもう閉まっているかもしれない。
せっかく魔法の掃除機を修理するチャンスだったのに、自然と気分が下がった。