第4章 片恋コンサルテーション!【アズール】
頬を上気させて懐くフロイドを適当にあしらっていたら、程なくしてアズールが帰ってきた。
ヒカルと違って身支度をすっかり整えた彼は寮服姿で現れ、ベッドに腰掛けたフロイドの姿を認めては目を見張る。
「フロイド! お前……、僕の部屋でなにをしている!」
「なにって、ヒカルちゃんと楽しくお喋りしてんだけど?」
訂正させてくれるのなら、楽しくお喋りをしているのはフロイドだけである。
けれどもそんな口を挟む隙がないほど、アズールの眦が吊り上がった。
「僕がいない時には、ヒカルさんと二人きりになるなとあれほど言っただろ!」
「え~、でもオレ、わかったって言ってねぇし。ていうかアズール、ヒカルちゃんの番になったら急に心が狭くなったね。ハリセンボンみたいに怒っちゃって、おもしれ。」
「誰がハリセンボンですか! 僕はあんなにぶくぶく膨らみません!」
話の論点がずれてきたようなので、今のうちに着替えを済ませてしまおうと服を探すが、ここに着てきたヒカルの私服が見当たらない。
「……ヒカルさん、なにかお探しですか?」
「あ、うん。わたしの服はどこかな、って。」
「ああ、あれ。ヒカルさんが着ていた異世界の服なら、燃やしてしまいました。」
「は……、燃や……?」
なにを言っているんだコイツ、とアズールを凝視したら、嘘っぽく甘い笑みを浮かべた彼がフロイドを押し退け、ベッドに腰を下ろしてはヒカルに身を寄せた。
「だって、必要ないでしょう? あなたはもう、異世界には帰らないのだから。」
「……。」
元の世界から着てきたものだからって、別にあの服に執着があったわけではない。
バーゲンセールで買った安物の服だ。
けれど、アズールがさも、「これであなたは異世界に帰れなくなった」とでも言いたげな表情が癪に触って、シャープな輪郭の頬を思いっきり抓ってやった。
まったく、どいつもこいつも。
「女性のものを勝手に捨てるとか、男として失格! はい、減点!」