第4章 片恋コンサルテーション!【アズール】
次に目を覚ましたら、そこはアズールの部屋だった。
一瞬状況を理解できなかったヒカルは、周囲を見回しながら慌てて上半身を起こした。
「う……ッ」
いきなり動かした身体がびきりと悲鳴を上げる。
特に下半身は陸に上がった人魚のようにがたがたで、痛みと僅かに残った熱のおかげでアズールとのアレコレを思い出した。
ヒカルは裸ではなかったが、町に着て行こうと思っていた自前の服ではなく、アズールのシャツを身にまとっていた。
いわゆる彼シャツであるが、当のアズールが部屋にはいない。
どことなく寂しい気もしたけれど、感傷に浸っている時間はない。
ヒカルはこれから、町へ出て魔法の掃除機を直さなければいけないのだ。
とりあえずオンボロ寮へ戻るべくベッドから下りようとした時、見計らったかのようなタイミングで部屋のドアが開いた。
「あっれぇ、ヒカルちゃん、どこ行くのー?」
「フ、フロイド、くん……!」
現れたのは部屋の主であるアズールではなく、寮服に身を包んだフロイド。
思わぬ人の登場に、ヒカルは床につけかけた足を引っ込めて、ベッドの上で掛布を手繰り寄せた。
なにせ、今のヒカルときたらアズールのシャツを一枚借りただけの状態で、下着以外穿いていない下半身を無防備に曝している。
「なにメダカみたいにオドオドしてんの? そんなに警戒しなくても、アズールの番をつまみ食ったりしねぇって。」
警戒しているのは貞操の危機だけではなく、あられもない姿を見られたくないとか、密室で二人きりになりたくないとか様々あるけれど、説明したところでフロイドにはわかってもらえないだろう。
今だってほら、ヒカルが縮こまるベッドに平気で腰を下ろしてくる。