第4章 片恋コンサルテーション!【アズール】
ヒカルに使われた薬は非常に珍しく稀少な素材を原料としているらしく、中和剤を作るのも難しいらしい。
そもそも、こんなことがなければ、アズールは中和剤を作る気すらなかったのだ。
「心配しないでください。どのような手を使っても、必ず中和剤を作ってみせます。だから、しばらくは水槽の中で待っていてください……!」
と、まったく安心できないセリフを吐きながら、アズールがヒカルの身体を抱えようとする。
「ん、うぁ……ッ」
抱き上げようとしたアズールの手が背中に触れた途端、全身にぞわっと震えが走り、寒くもないのに肌が鳥肌立つ。
「どうしましたか? 苦しいんですか!?」
苦しい、とても。
けれど、ヒカルを苦しめる“感覚”はアズールが説明してくれたものとは違っていて、だからこそヒカルは戸惑った。
「アズール、くん。ね……、その薬、ほんとうに……成功した、の?」
「ええ、もちろん。効果は実証済みですよ。」
そう言って、アズールはジャケットのポケットからガラス製の小瓶を取り出した。
透き通るような、青色の薬。
常備薬すら置いていないヒカルには薬の真偽が判別できないけれど、しかし、その瓶の形や色には見覚えがあった。
「ね……、それってさ、媚薬、じゃないの?」
「え……?」
前にアズールがユウに使うために調合していた薬。
性転換薬と媚薬。
その二つの内、今アズールが手にしている薬は、あの時見た媚薬とそっくりだ。
いかがわしい意味で火照るヒカルの身体。
正常に酸素を取り込める呼吸。
以上を踏まえると、どう考えても、ヒカルが服用した薬は毒ではなく……。
「あ、ああぁあ! 間違えてる!!」
なぜそこを間違えるのか。
いや、助かったけれど。