第4章 片恋コンサルテーション!【アズール】
ヒカルの腕がアズールの背に回り、ぎゅっと抱き返してきた。
細くて頼りない彼女の腕は、いつだってアズールのすべてを受け入れ、包み込んでくれたもの。
「……ヒカルさん、僕が好きですか?」
「うん、好きだよ。」
「どれくらい、好きですか?」
愛が重たい男だと、自覚はある。
でも、尋ねずにはいられない。
彼女の気持ちだけは、この頭脳を駆使しても答えを見つけられないから。
「さぁ? 量ったことないから、わかんないよ。」
「……ッ、そこは、元の世界より僕を選べるくらいと言うところでしょう!」
年相応の青年らしく子供っぽく拗ねたら、腕の中のヒカルがくすくす笑う。
「ヒカルさん。」
「なに?」
「好きです。愛しています。海よりも深く、海底火山よりも熱く、誰よりもあなたを愛しています。」
「……いちいち重いな。それ、なにかに例えなければダメなの?」
一生に一度の告白は、どうやら失敗したらしい。
でも、恐怖はなかった。
どんなに格好悪い自分でも、ヒカルが受け止めてくれると信じられるから。
「……あ。」
「なに? どうしたの?」
「いえ、契約書が……。」
アズールの持つ契約書に、変化があった。
前回レオナに砂にされてしまった経験を踏まえ、本当に大事な契約書は肌身離さず持っている。
ヒカルと交わした黄金の契約が、半分果たされたのだ。
契約書に記された内容は、アズールの恋が成就するまでヒカルは相談役を務めること、成就後にはアズールがひとつだけヒカルの願いを叶えること。
アズールの恋は、今、この時をもって成就した。
契約当初と相手は異なるけれど、間違いなくアズールが恋をした女性と。
あとの半分は、アズールが彼女の願いを叶えることで達成される。