第4章 片恋コンサルテーション!【アズール】
突然箸を叩き落とされたヒカルは、鳩の豆鉄砲状態だった。
なぜ納豆を叩き落とされたのかもわからないし、アズールが顔を赤くしながら激昂する意味もわからない。
わからない……が、VIPルームの絨毯がとんでもなくお高いことはわかる。
「あ、あー……! なにしてるの! ティッシュ、ティッシュ!」
慌ててティッシュを取ろうと腰を上げかけたヒカルの肩をアズールが掴み、そのままぐっと押されて強制的に座らされる。
「そんなもの……、そんなものはいいんです!」
「よくはないでしょ。……ていうか、どうしたの?」
アズールの様子がおかしい。
吐息が荒いし、瞳が潤んで充血している。
「もしかして、具合悪い?」
「悪くありません! どうしてあなたはそう……他人のことばかり心配するんですか!」
いや、目の前に具合が悪そうな人がいたら、普通に心配するだろう。
それが想い人であれば、特に。
「もっと自分を……、ヒカルさんを優先してください!」
それをお前が言うか?と思ってしまったのは許してほしい。
だって、ヒカルに無理難題を押しつけ、自分を優先しろと言ってくるのはアズールだから。
「えぇっと……。」
とりあえず、宥めよう。
ヒカルの告白のせいかもしれないが、彼は興奮状態にある。
フッてくれればそれだけでよかったのに、と思いながら言葉を探すと、それよりも早く、アズールが口を開いた。
「好きです!」
よく通る美声で、大きな声量で、ヒカルを見つめながらアズールが叫んだ。
それを聞いたヒカルは、ただ、首を傾げる。
「あ、うん。」
「な……ッ、なんですか、その反応は! 僕が、あなたを、好きだと言っているんです!」
「え、ありがとう。でも、アズールくんに嫌われてないっていうのは、さすがに知ってたし。」
でなければ、相談役に任命されたりはしない。
ヒカルが彼に想いを寄せてさえいなければ、きっと良い関係が築けたくらいに。