第2章 撮影ホステージ!【レオナ】
右腕をエースに、左腕をデュースに掴まれたヒカルは、嫌な予感がして冷や汗を垂らす。
なぜ嫌な予感がするかって?
それはエースとデュースがとてつもなく悪いヴィラン顔をしているからだ。
「おーっと、どこ行くんだよヒカル。」
「や、だから、そろそろ仕事に……。」
「そう言わず、もっとゆっくりしていけよ。なに、仕事なら僕たちが手伝ってやる。」
「そーそー。だからほら、座れって。」
無理やりソファーに座らされた。
デュースはともかく、エースが自ら仕事を手伝うなんて、空から槍でも降りそうだ。
「要は、ヒカルがラギー先輩と仲良くなれば、問題はすべて解決する……そうだよな?」
「は?」
「てことでぇ、ヒカルは頑張ってラギー先輩と仲良くなってくれよな?」
「え?」
困難して間抜けな声を出すヒカルとは反対に、ユウが「なるほど!」と手を打った。
「そっか! ヒカルがラギー先輩と仲良くなれば、証拠写真が完成するんだね!」
「え、ちょっと。ユウまでなにを……。」
「それはいい考えだね。このゴーストカメラはボクたちがしっかり保管しておくから、キミは安心してラギー・ブッチと親交を深めておくれ。」
「リ、リドルくんまで!」
ラギーのことは嫌いじゃない。
むしろ、好きだ。
が、しかし、ヒカルは彼らを遠くから観察したいのであって、自発的に、それも敵視されている相手の懐に飛び込みたくはない。
「んじゃヒカル、そーいうことで、いっちょ頼んだわ!」
「ヒカルちゃん、ファイト! いざとなったらオレが助けてあげるから、頑張ってね~♪」
満場一致で応援され、ヒカルは死んだ魚の目になった。