第2章 撮影ホステージ!【レオナ】
「こ、この写真は……!」
ハーツラビュル寮に連行されたヒカルは、ラギーたちに追われていた理由をあっさりと自白した。
しょうがないじゃないか、ヒカルは自分が可愛いのだ。
できれば、この写真の意味に気づかず終わってほしかったが、事態はすでに深刻化していた。
「おいおい、コレ、決定的証拠じゃんかよ! でかしたヒカル! オレたち、サバナクローの連中が他の寮のマジフト選手を卑怯な手で妨害してる証拠を探してたんだぜ。」
「ああ、そう。」
エースから褒められたヒカルの心境は穏やかではない。
マジカルシフト、通称マジフト。
ツイステッドワンダーランドではメジャーなスポーツ。
ナイトレイブンカレッジでは毎年寮対抗試合が行われ、メディアが殺到し、テレビ放映までされる一大イベント。
活躍しだいでは卒業後、一流企業からお声が掛かる可能性もあり、学生たちにとっては非常に重要なもの。
レオナ率いるサバナクロー寮生が他寮の有望選手に人知れず危害を加え、大会開催前にアンフェアな勝利を掴もうと企む……というのが2章の内容。
被害を受けたのはハーツラビュル寮生も例外ではなく、ハーツラビュルのお母さん的存在であるトレイがリドルを庇って怪我をした。
「よっしゃァ! クローバー先輩の弔い合戦だ! この写真を突きつけて、サバナクローのやつらにひと泡吹かせてやろうぜ!」
「弔い合戦って。デュースちゃん、トレイくんは死んでないでしょ?」
ツッコミを入れるケイトを横目に、ヒカルは嘆息した。
こんな写真に頼らなくても、なんやかんやで上手く収束するのに。
なんて、未来を知ったような発言ができるはずもなく、ヒカルはがっくりと肩を落とす。
(もういいや、なるようになるでしょ。)
撮ってしまい、見つけられてしまったものはどうにもならない。
きっと主人公の力でどうにかするだろうと諦めた時、事態は思わぬ方向へ向かい始めた。