第4章 片恋コンサルテーション!【アズール】
付き合いが長い分、フロイドの嘘は見破れる。
面倒そうに向き合った彼には嘘をついている様子がなくて、だからこそアズールの心は大きく乱れた。
自分のせいでヒカルが泣いた。
その事実が、あまりにも衝撃的すぎて。
けれども考えてみれば、アズールは彼女に酷い仕打ちばかりをしている。
体調を崩させるほどの失敗作を食べさせ、スマホを持たせて連絡を強要し、あろうことか童貞を捨てるための相手にさせた。
いくら考えても嫌われる要素しか見当たらなくて、中庭だということも忘れて狼狽える。
「ヒカルさんが、僕のせいで……? 僕は、嫌われたんでしょうか?」
「さあ? わっかんね。オレ、ヒカルちゃんじゃないしー。」
相談相手を確実に間違えている。
けれどもアズールが縋る相手はフロイドしかいなくて、すでに飽きている腕を掴んで揺さぶった。
「本当は知っているのでしょう? 教えなさい、さあ!」
「えー、だからヒミツなんだってばぁ。そんなに気になるなら、ヒカルちゃんに聞いてみればいいんじゃね?」
フロイドの言うとおりだ。
こんなところで気分屋ウツボの相手をしている暇があるのなら、泣きながら去っていった彼女を追いかける方が先決。
己の失策を自覚したアズールは、踵を返してヒカルを追う。
昼休みはすでに半分を過ぎていたけれど、例え午後の授業に出られなくなったとしても、優先すべきはヒカルだと決めていた。
心を惑わせ、感情を揺さぶり、らしくもない行動を取らせる元凶の名前を、アズールはまだ知らない。
ただ、置いていかれたフロイドだけが、その感情の名前に気がついていた。
「やっぱり、ヒカルちゃんもアズールもバカじゃーん。」