• テキストサイズ

Change the world【ツイステ】

第4章 片恋コンサルテーション!【アズール】




フロイドの指が、ヒカルの涙を優しく拭った。

慰められたいわけじゃない。
フロイドだって、慰めているつもりはないのかもしれない。

ただ、話を聞いたフロイドは、形の良い唇で弧を描く。

その微笑みは、どこか普段とは異なる部類の笑みだった。

「ヒカルちゃんってさぁ、案外バカなんじゃね?」

「どういう、意味?」

「そのまんまの意味だけどぉ。」

ヒカルは馬鹿だ。
そんなことは最初からわかっている。

立ち入ってはいけない領域に土足で踏み込み、付け入られて巻き込まれ、結んではいけない契約にサインをしてしまった。

これを馬鹿と言わずに、なんと言えばいい。

「あは、なに考えてるかちょっとわかんねぇけど、たぶんそれ、間違い。」

フロイドの言うことは要領を得ず、怪訝に思って眉を顰めたら、また涙が零れた。

でも、彼の真意を確かめる前に、一番会いたくなかった人に見つかってしまう。


「フロイド、そこでなにをしているのです?」


突然聞こえてきた声に、ヒカルの息が止まった。

「あ、アズール。」

フロイドが呑気に彼の名前を呼んだが、この場において呑気なのはフロイドだけだ。

「そこにいるのは、ヒカルさん……? ああ、よかった。あなたにも伝えたいことが――」

ヒカルの存在に気づいたアズールが、ハッと息を呑んだ。
泣いていたのが見えてしまったから。

「泣いているのですか? どうして……。」

答えられない。
まさか、あなたに恋をしているのがフロイドにバレてしまったから……なんて、言えるはずがない。

「なぜ泣いているのです。……フロイド、その手を離しなさい。」

「はぁい。」

強く絡んでいた腕がぱっと離れ、解放される。
自由になったヒカルは、すぐさま作業着の袖で涙を乱暴に拭った。

「ヒカルさん、どうしましたか? まさか、フロイドがなにか……。」

「違う。目にゴミが入っただけ。……フロイドくん、ありがと。」

「えー? どういたしましてぇ。」

一刻も早くこの場から立ち去りたかったヒカルは、無理がある言い訳を口にして、足早に彼らから離れていった。

アズールは、追いかけてこなかった。



/ 426ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp