第4章 片恋コンサルテーション!【アズール】
アズールは、ヒカルを好きにはなってくれなかった。
一番大きな原因は、ヒカルが彼と関わることを恐れたから。
これ以上好きになるのが怖くて、アズールとの繋がりが増えてしまうのが怖くて、彼と関わり合いになる機会を自ら捨てた。
例えば、3章の内容を知るヒカルが進んでユウたちに協力し、アズールをオーバーブロットから救ってあげたのなら、彼はヒカルを好きになったかもしれない。
でも、その後はどうしたらいいのだろう。
いつか元の世界に帰れる日が訪れた時、アズールはヒカルを引き留めてくれるだろうか。
ヒカルの未来を、引き受けてくれるだろうか。
ありもしない“最後”を考えたら、どうしたって恋に前向きにはなれなかった。
だから、人知れず諦めようとしたのに。
「好きだよ、アズールくんが。アズールくんが、好き。」
ぼろり、と涙が零れた。
最初から、無理だったのかもしれない。
こんなに好きなのに、想いを誤魔化しながらアズールとユウを応援するだなんて、無理だった。
アズールと一緒にいる時間が増えれば増えるほど、どんどん欲が大きくなる。
だからヒカルは、アズールの無茶な願いを承諾した。
練習に付き合うフリをして、彼の“初めて”を奪いたかった。
そうすれば、アズールが誰と結ばれても、ヒカルが元の世界に帰ったとしても、彼の中に自分を刻むことができる。
後悔はしていない。
ただ、自分の愚かさに吐き気がしそうになったけれど。
「不毛な恋は、したくない。別れが来ると知っているのに恋に溺れられるほど、わたしは強くないの。」
溢れる涙は止められず、無造作に流れては豊かな大地に吸い込まれていった。
わたしが、ユウだったならよかったのに。