第4章 片恋コンサルテーション!【アズール】
アズールの恋を邪魔する気なんて、さらさらない。
彼がユウのために頑張る姿は可愛いと思ったし、好ましいとも思った。
ただ、どうしたって胸の痛みはつきまとうから、関わり合いにはなりたくなかったけれど。
「協力してあげよっか?」
悪魔の囁き声の如く、耳もとで甘く優しくフロイドが呟いた。
人は誰しも、想い人と結ばれたい。
けれどヒカルは、抱きついたまま離れてくれないウツボの誘いに乗らなかった。
「……いらない。」
「どうしてぇ? アズールのこと、好きなんでしょ?」
「アズールくんは、ユウが好きだよ。」
好きな人から、彼の好きな人と結ばれるための相談に乗る。
まるで、少女漫画のようなシチュエーション。
「奪っちゃえばいーじゃん。それにさぁ、アズールと小エビちゃんは付き合ってもねぇんだし、誰に文句を言われるわけでもなくね?」
「フロイドくんが、そこまでわたしを応援する意味がわからない。」
「だぁって、その方がおもしろそーじゃん。」
そんなことだろうと思った。
ため息を落としながら視線を背けると、頤を掴まれて無理やりに上を向かされる。
「それにねぇ、オレ、小エビちゃんよりヒカルちゃんの方がスキ。アズールの番になんなら、ヒカルちゃんがいいなぁ。」
左右で異なる、不思議な光彩の瞳。
フロイドの瞳を見つめても、彼の真意がわからなくて、代わりにヒカルが本音を吐き出した。
「……不毛、なんでしょ?」
「ん?」
「フロイドくん、前に言ってた。異世界人と人魚の恋は、不毛だって。」
いつかは元の世界に帰ってしまう異世界と人魚の恋は、無駄で不毛。
以前、フロイドとジェイドが言っていたことだ。
不毛。
そう、不毛だ。
そんなこと、フロイドたちに言われなくてもわかっている。