第4章 片恋コンサルテーション!【アズール】
異性の胸を見るのは、初めてではない。
海の世界では服という概念がほとんどなく、女性の人魚もそれに然り。
貝殻で胸部を隠す者もいれば、なにも身につけない人魚もいる。
煌びやかな鱗に覆われていたり、分厚い皮膚に覆われていたり、人魚にとっては身体そのものが装備なのだ。
だから今まで、異性の人魚が肌を曝け出したところで、なんの感慨も覚えなかったけれど。
(……これは、なんだ?)
白くて、ふんわり膨らんだ二つの胸。
先端だけが薄紅色に染まっていて、齧りたくなるほど美味しそう。
湧き上がる欲求を我慢できず、魅惑的な双丘に触れてみた。
「……ッ」
小さな悲鳴を漏らしたのは、ヒカルではなくアズール。
膨らみの柔らかさに驚いたのだ。
濡れているわけでもないのにしっとりしていて、弾力があり、ため息を吐くほど柔らかい。
人体にこれほど感触が良い部位があったなんて、今の今まで知らなかった。
手の中でもにゅもにゅと形を変えるそれを揉みしだいていたら、アズールの下でヒカルが小さな呻き声を上げた。
「ん……、ちょっと……痛いかな。」
「は……ッ、す、すみません!」
生身の肉体であると知っていたはずなのに、無我夢中で触れてしまった。
我に返ったアズールは、ヒカルからパッと手を引いて、今度はどう触れようかと迷う。
すると、宙を彷徨っていた手をヒカルが取り、自ら己の胸へと導いた。
「このくらいの……、強さで。」
「こう、ですか?」
「うん、そう。」
触れ方を教わりながら、馬鹿の一つ覚えのように揉み続ける。
しばらくすると、手のひらの中心に硬く凝ったものが当たり、そっと手を浮かせて確かめてみた。
ほんのり色づいた先端が、芽吹くように勃ち上がっている。
知識だけは無駄に得たアズールは、胸の頂が刺激によって勃起すると知っていた。
(感じてくれている、と思っていいんでしょうか……?)
本人には聞けなかった。
アズールを導くヒカルが夜の戯れに長けた百戦錬磨の女王でないことくらい、とっくにわかっている。
彼女の頬は羞恥に染まり、触れる指は微かに震えている。
けれども決して嫌とは言わず、果敢にも平静を装おうとするヒカルを可愛いと思った。