第4章 片恋コンサルテーション!【アズール】
ごくりと喉を鳴らしたアズールは、やがておずおずとベッドに上がってきた。
ハットもジャケットも身につけないラフな恰好は、普段あまり目にしなくて新鮮だ。
ベッドに上がってきたはいいものの、なにをどうすればいいかわからないアズールは、膝立ちになったまま固まる。
「緊張しすぎじゃない? さっきまでの余裕はどこにいったの?」
「……ッ、あ、あなたが……、こんな大胆な真似をするから!」
「誘ったのは、アズールくんでしょ?」
「それは……、そう、ですけど……。」
土壇場になるとポーカーフェイスを貫く余裕もないらしい。
気が変わってしまったら困るので、開いたままの距離をヒカルから詰める。
膝立ちのアズールに近づいて、その胸に手を置き、そっと寄り添う。
初めて触れたアズールの胸は想像していたよりも逞しく、笑ってしまうくらいに心臓が暴れていた。
「落ち着いて。これは、練習。わたしはユウじゃないよ。」
「……わかっています。」
「……。」
時折、自分で吐いたはずの言葉に傷つく。
胸の痛みを隠すために薄く微笑み、アズールの顔から眼鏡を取った。
「あ、ちょっと……、それがないと視力が著しく低下するんですが……。」
「じゃあ、ちょうどいいでしょ? 余計なものは、見えない方がいいよ。」
ヒカルの顔も、ヒカルの気持ちも、すべて見えなくなってしまえばいい。
奪った眼鏡をヒカルの服と一緒にサイドボードへ置いて、空いた手のひらをアズールの頬に滑らせる。
「まずは、キスから。」
「キ、キス……!?」
スカイブルーの瞳が見開いて、不安げに揺れた。
それだけでキス経験の有無がわかってしまい、笑いを堪えるのに必死だ。
アズールは、可愛い。